久しぶり、プロイ!








ようやくのことで、ミックがブログに戻ってきた。

引越し騒動から、どれくらいたっただろう?

ミックが、シカゴを発ったのが3月1日、それから、何故かエル・パソに飛び、その後、古巣のラスヴェガスに寄って友人たちとお別れをし、日本に着いたのは3月9日。

成田から大阪・伊丹空港行きに乗り継いで、これからの住まいとなるミックの兄のマンションに着いたのは、夜8時ごろだった。
九州から出て来ていた母親と一緒に、歩いて数分の距離にある、これからの職場、つまり兄が今年の2月20日にオープンした居酒屋に行ってみた。
つまり、ミックが帰国することになったのは、兄のオープンする店を手伝うためだった。

ミックが帰国し、お店に少し慣れるまで、手伝いをしてくれていた女性が、その週末までということだったので、ミックは翌晩からさっそく出て、3日目からは閉店までしっかりこき使われ、4月もあとわずかとなった今日に至っている。

そこで、シカゴを発つまでのこと、エルパソ見物やラスヴェガスのことは、しばらく置いておいて、まずは、新しいミックの生活から再開することにしよう。

ミックが暮らすことになった兄のマンションは、梅田からJRで二駅目、大阪城は歩いて20〜25分くらい、近所には長い長い賑やかな商店街がある。
この商店街をブラブラするのが、これまでのところミックのストレス解消となっている。
また、有名な天満宮も近いし、後ほど紹介する造幣局も近く、電車の便もバス(まだ利用したことはないが)の便もいい。

ミックの兄がオープンした居酒屋は、元々、彼の行きつけの店だった。ミックも帰国した際に、何度か連れていってもらったことがある。
そこのオーナーがリタイアしたので、適当な店を探していた彼は、そこを借りることにしたのである。
一番の利点は、家からわずか数分の近さだということ。

居酒屋だから、ディナーだけだとタカをくくっていたのだが、ミックが少し慣れてくると、仕事の鬼と化した兄は、さっそくランチもオープンすると決めてしまった。
ふたりきりだからタイヘンである。朝は9時半には店に出、ランチの準備、オープンは11時半から2時まで、夕方は4時半から準備にかかり5時半から10時半まで、とはいっても、 お客さま次第では店を閉めるのは11時、11時半ともなり、通常家に帰ってくるのは12時を完全に回っているし、ひどい時は1時を過ぎるときもある。

こんなはずではなかった・・・ミックはへとへとになりながら、幾度もボヤいたが、それにも慣れてしまうと、疲れも少なくなった。
元々、ミックは回復力が早く、唯一のとりえが『健康』なのである。

ただ、ほとんど一日中立っているわけだから、終わるころには足がむくんで、朝よりは数センチは太くなっているはずだし、それが永久的になったらどうしよう・・・と心配している今日この頃である。



大阪は寒かった。 幾度も幾度も真冬が戻ってきた。
暖房の効いたアメリカの部屋に慣れていたミックには、家の中の寒さはたまらない。しかも、ミックのために空けられた部屋は、長い間物置と化しており、冷暖房がこわれているというし、ストーブは居間に1台しかないときているので、本当に寒い寒い日々を送る羽目となったのである。

冬用の衣類は、ほとんど持ってきていないのだが、船便で送った荷物があるので、新しく買うのもバカバカしいし、第一、兄は当分は給料なんか払えないぞ、ケロリとしているので、無駄遣いも出来ないのである。

シカゴから着てきた薄っぺらなジャケットを、ずっと着っぱなしである。(何故薄いジャケットかというと、空港までは知人が来るまで送ってくれたし、立ち寄るエルパソもヴェガスも暖かいので、厚手のコートは、空港や機内で邪魔になると思ったからである)

そんな大阪にも桜は咲いた。
4月初旬、ミックは兄と共に、近所の河畔沿いの桜並木を散策した。
日曜の午後だから、花見客でにぎわう中を、ブラブラと大阪城まで歩いていくと、桃園にも人々が群っている。 正直なところ、桃の花のほうがきれいだとミックは思う。

河畔の桜は見事だったけれど、翌週の大雨で大方散ってしまったころ、大阪では有名だという造幣局の『通り抜け』が始まった。 
これは、造幣局の庭を一般に開放し、1週間に渡って、種々の八重桜を公開するというもので、その週の日曜日の午後、ミックも今度は兄抜きで見物に出かけてみた。
なにせ、花見に風情のカケラもない兄はガンガン歩くだけで、迷子になるまいとミックは早足で歩かねばならず、ひとりの方がよほど気楽である。

入り口はひとつなので、そこにたどり着くまで、前に歩いた河畔沿いを行くと、にぎやかな店がたくさん出ている。
ブログに載せるために、写真をパシャパシャやりながら、たこ焼きを頬ばりコーンをかじっていると、トイレにいきたくなる。 公園のトイレの他に簡易トイレも設けられており、ミックは長い行列に並んだ。 やっと番が回ってきたのだが、トイレはすべて和式である。

実は、ミックはすでに和式を使えない身体になってしまっている。 つまり、ひっくり返りそうなのである。
しかし、背に腹はかえられないので、何十年振りかの和式に挑戦し、何とかひっくり返らずに用を済ませてほ〜っと長い安堵の声をもらしてしまう。

ようやくのことで造幣局のエントランスにたどりついたが、ここは本当に『通り抜け』であった。
拡声器を持った係員がたくさん出ていて「立ち止まらないでください、写真撮影で立ち止まらないでください、混雑の原因になります」 と怒鳴っているが、すでに混雑しているし、誰も聞いていない。
たくさんの見物客があちこちで記念撮影をし、混雑しているおかげで、桜をゆっくりまともに鑑賞できるんだよね、とミックはつぶやきつつ、カメラをパチパチ。
桜の種類の多さは、大阪一らしい。

それにしても、600メートルの距離を1時間近くかけて歩いたのだから、係りの方、拡声器を無視してごめんなさい、とミックは殊勝である。